あかり

ウィーアーリトルゾンビーズのあかりのレビュー・感想・評価

4.5
『ただいま、し〜ん』

衝撃的だった。両親の死に泣けなかった少年少女4人組。生きてるようで死んでる、死んでるようで生きてる。感情を失くした彼らがどこに行き着くのか、この映画はどこにたどり着くのか。ノンストップで吹き抜けていく風のように一瞬で終わった映画でした。

私も近しい人の葬式で泣けなかったクチです。悲しいと思っているのに泣けない。弟も両親も泣いてるのになぜか自分だけ乾ききった目。なんだか自分が薄情な人間にしか見えなくて焦った記憶があります。それから10年ほど経ちました。この映画を観て、別に焦る必要なかったし泣けないなら泣けないでよかったんじゃないかと思います。同時に焼いちゃうと混ざりますもん、てかただの煙だし。

『デフォルトで孤独』っていうセリフが一番好きです。多分このセリフを理解できない人も多いんじゃないかと思う。別にそれは悪いことじゃない。そういうことを常に思っていたりそういう状況になったことある人たちが救われる映画だった気がする。

脇を固める役者陣がまあ豪華で、感情のない子供たちと対照的に違和感なくこの映画を完成させていました。池松くんが最高によかった。ごめんねと繰り返す彼は一体誰に謝っていたんだろう。4粒のダイヤモンドを見つけてしまったこと?自分の思いのよらない方向に彼らが進ませてしまったこと?社会のど真ん中に幼い彼らを引きずり出してしまったこと?あのシーンだけでなぜか泣けた。彼の後悔とやるせなさとよくわからない感情が渦巻いていてめちゃくちゃにエモかった、あ、古いか。

このままいくとこの映画は年間ベストに食い込みそうです。上半期ラストにとんでもない映画に出会ってしまった。これだから映画を観るのはやめられない。
あかり

あかり