両親の愛を知らずに育ち早くからヤクザ社会に飛び込んで悪事の限りを尽くした日本人が、カリフォルニアの刑務所で最恐のチカーノ・ギャングのボスに気に入られて囚人たちの信頼を得ていくという、ちょっとジャック・オーディアールの「預言者」を思わせる話を本人のkeiと知人たちのインタビューで追っていくドキュメンタリー。
前半、ヤクザ時代の仲間と再会して当時の破天荒な悪事を冗談まじりに笑い飛ばしていくところが何とも恐ろしいね。特にバブル時代のくだりがすご過ぎる。
現在のkeiのルックスと話し方が穏やかで、とても悪事を働いたように見えないのがこないだ観た「どこへ出しても恥ずかしい人」の友川カズキの強烈さと全然違うなーと思ったけど、肝が据わってる人間はやっぱり強いってことだね。
出所してから慈善事業みたいなことを積極的にやってる理由を聞かれて、理由は良くわからないしこれをしたからといって過去の罪が帳消しになるとは思ってないって答えるところに人間の業の深さを感じた。
後半で登場する母親が息子との関係を聞かれて、「もうちょっと義理人情ってものを考えてほしいね」って言い放つのが呆れちゃって、メキシコの家族愛との対比になってたね。