Anne

人間失格 太宰治と3人の女たちのAnneのレビュー・感想・評価

4.0
もうすぐ桜桃忌ということで。

大宰は堅実的に一般社会を生きていけている人からしたら「メンヘラホイホイ」で済まされてしまうな。
入り口から好き嫌い分かれそう。
家庭があっても税の徴収用紙が届いてもどうしてあそこまで芸術的で居られるのか。
才能は命と引き換えですね。
3人の女にも、太宰にも、深く共感してしまう。

人間失格を初めて読んだ時は居ても立っても居られなくて入水現場まで足を運んだ。
70年以上経った今では人喰い川なんて呼ばれるには程遠く浅く静かでここで太宰が死んだなんて想像するのが難しい跡地だったけれど、その玉川上水の目の前に太宰役、小栗旬の出身校があり、なんだかご縁を感じますね。

目の前で自分を必要としている女を放っておけない。クズだけどそれも優しさですよね。目の前で弱さを見せない妻、美知子の気持ちは最も計り知れないですけど。
一生分の恋をしたと思える相手が私にも居るなぁ〜とか、
何も無くて焦る気持ちも分かるなぁ〜とか。
恋愛で心を裂かれることはあっても死ぬことはもう無さそうだから、成り行きでも情熱に身を任せられる人生は羨ましく思える。

冒頭とラストの少し滑稽でフランクなカットが全体の暗い内容とコントラストがあって良い。作中も訳の分からない独り言だったり1人ツッコミのカットは太宰の明るい一面も感じられて好き。

気がつくと蜷川実花監督映画もドラマもコンプリートしていた。好きなんだな〜。
写真とは違う、照明を駆使した映画ならではの表現が増えてきた印象。富栄の部屋の戸棚から漏れ出す光で十字が刻まれていたり、暖色と寒色の調和も神秘的で好き。
Anne

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