ゆうひ

ジョジョ・ラビットのゆうひのネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

環境次第で子どもが善にも悪にも染まるという話題に触れることは多々あるが、本作はその一例を具体的かつ強烈に示してくれる。

差別主義者、被差別者、独裁者は、子どもの心にある時にはこのように入り込み、そして純粋な心の中では所詮このような振る舞いをする。そのことに気づかせられ、倫理教育について考えさせられた。

コメディ調の表現はあるが、それは子どもの幼さや甘さの表れであり、作中ではそんな子どもらしさが戦争の残酷さのスパイスにもなるので、単純に笑いには繋がらない。

被差別からの解放、差別主義からの解放という意味では、ちょうどいい塩梅の問題提起だと感じたが、覇権国家アメリカからの視点でドイツにとっての幸せをどうこう言っているのが気になりすぎて好きになりきれなかった。自戒という発想がないのか、プロパガンダなのか。アメリカの戦争映画では最早仕方ない。

また、ユダヤ人の少女を、ただ殺される運命のウサギに重ねて、皮も剥けていないような男子に助けさせるというのも、私はなんとなーく気持ち悪かった。実際ユダヤ人には自分の命を守るための努力すら難しい局面があったのかもしれないが、少女の自立と尊厳はビンタ一発では帰ってこない気がした。

プールサイドで母の脚だけが映るシーンをあのように回収するのはとても良かった。一番の名シーンだと思う。
ゆうひ

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