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ジョジョ・ラビットのjunのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.1
分類は戦争映画ですがそこにコメディ要素やファンタジーを巧みに織り交ぜた色彩豊かな作品でした。

その色使いは『グランドプタペストホテル』のウェス・アンダーソン監督作品を思い起こす程。美しい街並みやお洒落な部屋に思わず戦争映画だということを忘れてしまいそうになります。

だからこそ後半その美しい街が爆撃により脆くも破壊され瓦礫と化す場面は戦争の惨さがより際立って観ている側に伝わってくるようでした。

また母ロージーの息子を否定しない育て方はまさに理想でした。
前半何度も映し出されるそのロージーの足元。無意識に特徴的な靴をこちらに認識させておいて後半のあの使い方…
全て映し出さなくてもそれが誰で、どういう状況かを一目でわからせてしまう画角の使い方には驚きでした。

幻想の友達だったアドルフが後半はただの狂気じみた人になっていたのも、ジョジョの考え方が色んなことを通して変わってきたのを暗に表現しているようでした。

そしてもう一つ素晴らしかったのが音楽。
いきなりオープニングからBeatles。
エンドロールはデヴィッド・ボウイ。
最初と最後をインパクトのある音楽とコミカルなダンスで締める。
戦争というテーマにはミスマッチなようで絶妙に合っている不思議な見せ方でした。


余談ですがサム・ロックウェルが出ていると聞いて実はグリーンマイルのあのサイコな演技が忘れられず彼のファンになりましたがだいぶ年を重ねていたせいで最初どこにいるのか気付かず…キャプテンKという重要な役どころでした。

ジョジョをかばってくれたり、ロージーと仲良さげだったので母の元カレだったのかなと想像しました。
いい歳のとり方をしていて嬉しかったです。

戦争という重いテーマでありながら色彩や音楽でそうなりすぎないような見せ方になっており、それでも戦争や人種差別について深く考えさせる作り方はまさに秀逸。

靴紐がしっかり結べるようになったジョジョ。母ロージーが立派に育て上げた息子の姿に思わず涙でした。
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