あお

ジョジョ・ラビットのあおのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.3
コメディテイストと「愛は最強」のキャッチコピーのミスマッチ感に疑問を抱きつつ臨んだ試写会だったが、なるほど。
今や世界中で、とりわけドイツで絶対に繰り返してはいけない歴史として語られているナチス、そしてヒトラーがまるで英雄のように、神のように崇められていた時代は負の歴史でありながらも目を背けず直視する必要性を頓に感じた。
無垢な少年がナチスの教えに従わなければいけないが従えないという葛藤を抱えている姿は、当時にも見ることができたのだろう。
敬虔なヒトラーの信奉者であった彼はしかし、その葛藤にひどく悩まされる。その姿は微笑ましくも痛ましい。否が応でも当時のドイツを思わされるからだ。
戦争や激烈な思想から大切なものを奪われてゆくジョジョは、それでも自身のお腹で舞う蝶を想い続けた。
弱く不確かな"愛"は、けれど、だからこそ強いのかもしれない。
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