愛のある映画

ジョジョ・ラビットの愛のある映画のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.3
Filmarksさんに呼んでいただき、試写会で。なんと今回は27倍?を勝ち抜いたそう。注目度が窺える一方で、当然期待値も爆上がりの「ジョジョ・ラビット」。
まったく新しい戦争映画!
史実を背景に、完全な創作を見事に物語にしてみせたワイティティ。そう聞けば、多くの戦争映画も同様。なのだが、今作とそれ以外を大きく分かつポイント。
10歳の少年が見て、感じて、経験したこと。それが戦争であったということ。
そう、今作の主人公は兵士でもヒトラーでも、ましてや大人ですらない。
全く難しくない。
少年がいた小さな世界の、大きな話。
10歳のジョジョは、戦争に憧れ、戦争に打ちのめされ、戦争と向き合った。
そうして彼は、あることに気付くーー
愛し、愛される世界を知ったジョジョを見たとき、父は、母は、姉は、あるいはキャプテン・Kは、そして観客たちは何を思うだろうか。ジョジョの小さな成長を見届けたいま、平和の解放に静かに喜び、誰もがラビットなのだと気付き、目の前には好きな人がいて、踊る。彼らと一緒に。
多大なる犠牲のうえに訪れた平和を享受することは、誰かの幸福であり誰かの不幸である。そして、それらを学んで生きていくことは歴史のアイロニーである。一方では必然的に、それらを否定することはできない。すべてが幸福ではないけれど、すべてが不幸なわけでもない。生きてこそ。
ノンフィクションとフィクションの綱渡りを見事に、堂々たる様子で成功させたタイカ・ワイティティ。天才。
垣根を越えたという意味でジャンル映画の新境地であり、戦争映画の新たなる希望である。
サム・ロックウェルやアルフィー・アレンなどは本来悪役が目立つものの、そんな先入観を逆手にとった配役が余計にアツい。
最後に、ジョジョを筆頭に登場人物がほとんどもれなく全員かわいい。笑
「バトルロイヤル」を超えて、ワイティティの代表作になってほしいと切に願う。
p.s. 会場に着いたときから係りの方が着ていたTシャツいいなーと思っていたのでもう最高です。登場人物全員に着てもらってピースしていただきたいな、と。✌️