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ジョジョ・ラビットのKUBOのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.5
2020年、2本目の試写会は『ジョジョ・ラビット』。

前評判がすごく良かったし、ちょー期待してた『ジョジョ・ラビット』。でも予告編を見て、こんなハジケたコメディタッチの作品で、どうやってヒトラーやユダヤ人問題を描くのだろう(?)と、興味津々で鑑賞だったが…

シリアスとファンタジーのバランスが抜群! 『ライフ・イズ・ワンダフル』以来の、家族で見られるヒトラーやユダヤ人問題を描いた映画の傑作だ!

まず一番のインパクトはジョジョの秘密の友だちがヒトラー総統だということ。ジョジョの心の中のヒトラー総統は、自信のないジョジョにアドバイスをくれたり、励ましてくれたりするが、この関係がドラマが進むにつれてどう変わっていくかがポイント! ラストでは、だからこその偶像であったのかと、その巧さに舌を巻く。

さらに、タイカ・ワイティティ自身が演じるヒトラーの動きの中に、チャップリンが見え隠れするセンスが抜群!

また、この映画、「靴」と「靴の紐」がかなりのキーになっている。一番残酷なシーンも「靴」だし、靴の紐が結べるようになることが「大人になる」ことを象徴するラストも素晴らしい。

もう一つ、ジョジョの友だち「ヨーキー」はこの映画の特異点。ヒトラーユーゲントの中にいながら、ユダヤ人に対して嫌悪感を抱かず、常にフラットでニュートラル。終盤では「ヨーキーだけは殺さないでくれ!」って、祈りながら見てた。

タイカ・ワイティティって、『マイティ・ソー バトルロイヤル』以前の作品って見たことないんだけど、すごいセンスのある監督だ。ふざけ過ぎなんじゃないかって心配になるような出だしから、誰もが感動し納得できる作品にまとめあげる技量。第二次大戦中のドイツを描きながら、ビジュアルも音楽もポップでキャッチー! そして何より、ジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイビスくんがちょーかわいい! 彼の魅力なくしてこの作品のパーフェクトな完成度は為し得なかったろうな。

ぜひ、家族で見てほしい。笑えるのに、泣く。涙腺弱い人はハンカチ必須! でもラストはハッピーな大傑作だ!
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