いぶき

ジョジョ・ラビットのいぶきのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.5
2020年一発目試写会。

冒頭がコメディな何でもない日常で始まるために、中盤から差し迫る戦火がよりリアルに感じる。もし自分が戦争を経験したら、こんな風に一夜にして馴染みの街も人の命も消えていってしまうのだろうな。みんなが武器を持って自分の命と国をまもるのだろうな。他人事としてみる映画ではなかった。主人公が子どもだったことも感情移入できた理由だろうか。
サムロックウェルが好きなので、キャプテンKのシーンは全くもって感涙だった。

ジョジョはきっととても心が健康に育った子。だからこそ、とても良い倫理観が彼の中で芽吹いている。
けれど、勇気や正義が捻じ曲がっている狂気な時代で、誰もが何が正しいのかがわからない中で、ジョジョなりに辻褄をあわせる為の方法が妄想ヒットラーの鼓舞だったのか。それでも10歳の子供の空想だから10歳の子供の知識でしかないが、子供ゆえの快活なヒットラー。taika太った?

お母さんとキャプテンKは自由に生きた人として印象付けられた。節制が美徳の時代に自分の好きなものを身にまとい、酒を嗜み、自分を取り巻く世論とは違う意見を持っている。自分の生きてきた価値観を使って、周りに流されることなく善悪を判断して行動している。作中でお母さんはそれを自由であると表現し、それが大人であるとエルサに説く。
犠牲に尊いものなどないし、名誉な死などないけれど、戦争に触れた全ての人が培った礎を忘れてはならないね。
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