いろどり

新聞記者のいろどりのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.3
いやー、見る順番間違えた。元ネタのドキュメンタリー「i-新聞記者ドキュメント-」があまりにもテンポ良く躍動的でリアリティーに満ちた良作だったため、完全に見劣りした。既知の話題だったことに加えて、記者を日韓ハーフにする必要性を感じられず、人為的な演出も気になり退屈に感じた。事実は小説より奇なりということかしら。

こういった国家権力の闇というテーマを有名な役者が演じ、日本のアカデミー賞を受賞するということには少なからず意味はあると思う。真実に近い国家の腐敗を表現できる世の中になりつつあると感じることができる。昭和なら圧力がかかりそう。国家公務員は民主主義の原則のもと、建前では国民のため、実際は誰のための存在なのかよくわかる。

まずは知ることのできる世の中になることが重要で、国民が国家に興味を持つことからすべては始まると思っている。表面的には民主主義国家であり、事実上は独裁政治、封建国家の古くさい日本から少しずつだけど脱却の一途を辿ってるのかな。アメリカだと政権や国家の意見をネットに書くと内容次第では監視対象になったりする可能性があるけど日本も同じだったら怖いからあまり書くのはやめよう。怖い怖い。

こうゆう映画を見ると、政治風刺映画という点で韓国に追いつけ追い越せ、という気持ちが出てくる。現段階では韓国の足元にも及ばないけど邦画にも期待を持ちたい。

日本が本当の意味で民主主義になるまで、まだまだ数百年はかかると思っている。そもそも国民のほとんどは政治や国家権力にあまり興味がないから中枢はやりたい放題という現実がある。国家権力の腐敗、コントロールされたメディアというものを国民が認識することが第一歩であると考える。この映画や原作者の望月女史は、国民の認識を広げる一助を担っている。もっともっとこういったテーマがニッチな市場ではなく大衆映画としてたくさん世に出るようになると良いなと思う。ドラマ版は現在、3話まで見た限り、期待できそう。
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