たちくるみ

新聞記者のたちくるみのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.0

日本の現状の政治を知っていればいるほど届くものがある作品。

「加計学園問題」「望月記者問題」など実際の問題をモデルに日本政府の闇にメスを入れるべく作られた日本においては珍しい作品でした。
その珍しさ、そしてそのテーマで映画を制作するという決断ゆえに多くの注目、意見が寄せられついには日本アカデミー賞を獲得するまでの日本の「現在」を代表する作品となりました。

主演のシム・ウンギョン、松坂桃李。
そして内調の上司多田を演じた田中哲司。

この3人のお芝居は作品の内容云々に関わらず素晴らしいものがありました。

緊迫感、嫌悪感、恐怖。
目を背けたくないけれど敵が大きすぎて全体像すらつかめない相手に心が揺さぶられている様を繊細に描いていて藤井道人監督の手腕が光る作品でもありました。

何よりこの作品のメッセージはまさにこの作品の中の主人公と同じで「伝えたいけど自分たちの力では映画の中だけでしかそれを伝えることが出来ない。」というもどかしさが詰まっているように感じました。

この作品を観てから日常に溢れるニュースにはこういう操作された闇が存在していることを考えずにはいられなくなりました。
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