yuri

新聞記者のyuriのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.1
プライベートでは出産という大きな喜びがある反面、核心に迫るにつれて杉原さんがどんどんやつれていく様があまりにもリアルで見ていて苦しくなる

出産が霞むくらいの圧力と責任
家族を人質にとられている感覚
尊敬する上司への弔いと自分の将来

きっとどの世界にもあること
表面化していないだけで膿は溜まっていて
覚悟してメスを入れると想像以上に侵食されていることを知る

フィクションでもありノンフィクションでもあり
本気で国のため国民のために尽力している人もいると思う
自分の保身のために手を回し金の亡者になっている人もいると思う
社会には自分だけでは抗えない力があることも知ってる
目の前が真っ暗になる
足元が崩れ落ちる
どういう選択をしたって
誰も責められないし誰のせいでもない
時間をかけてそういう体制をつくりあげてしまったから
でも誰かが立ち上がって犠牲にならなければならないとしたら
それが自分の家族なら
ましてや自分なら
どうしてほしいだろう
どうしたいだろう

一度背負ったものは
一生背負い続けなければならない
ということをあの手紙から思い知った

ごめんと泣いた時には
決心していたのだろうか
覚悟していたのだろうか

でも神崎さんが伝えたかったのは…?
生物兵器に関しては報道機関に託し
杉原さんには民間委託の件のみを託したかったんだろうか


ラストはもう辛すぎて苦しすぎて
その先を見たくないし知りたくない
命さえあればとも思うけど
命より重いものなんてないともわかってるけど
同等の重荷を背負ってしまったら
全部抱えて生きていけるほどこの世界は優しくない
家族は話してほしいと願うけど
話せない気持ちもわかる
だってこんな重たいもの背負わせられないでしょ
でも吉岡さんはこれも背負ってこの先生きていかなければならないのか
yuri

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