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ギレルモ・デル・トロのピノッキオのレクのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ディズニーアニメ『ピノキオ』に込められたメッセージとは異なる、ギレルモ・デル・トロの過去作にも共通する異型への愛と父性や戦争といったファシズムに対するメッセージ。

人はどうしても自分の理想を描き、相手にそれを求めてしまう。
相手の理想像になることは本当の自分なのか。
否、それこそ『ピノッキオ』で描かれる操り人形、本当の自分と嘘の自分の境界線。
相手に求めすぎることは自分の理想を相手に押し付けているだけだと思う。


この映画での大人の制裁を見ると、そういった大人たちの理想像、抑圧の中で自分の意志をしっかりと持つことの重要性が見えてくる。
それが「ありのままの相手を愛すること。」にも繋がる。

アイデンティティを模索していく中で「ありのままの相手を愛すること。」に気づかせる父親と息子の物語。
つまり、子ども、ピノッキオ視点である主観がいつしか大人、ゼペット視点である客観にすり替わっている。
また、子守係であるセバスチャンとピノッキオの関係やヴォルペと猿、戦場の上官と息子など、親子のようなポジションのパターンをいくつか描いて厚みを持たせている。

これは子どもから大人へと成長していく、いつしか子どもも大人になって父親のように見守る側になること。
こういう大人にはなっちゃだめだよって。
そんなデルトロのメッセージを感じる。
オープニングとエンドロールを映像で繋ぐのも、松ぼっくりを植えて気を育てることも、子が大人になり、またその子が大人になって子を持っていく。
ある種の継承的な意味合いもあるのかなと。
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