miho

行き止まりの世界に生まれてのmihoのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

filmarksオンライン試写会にて

暴力の絶えない家庭から逃げるように始めたスケボーを通じて仲良くなったキアー・ザック・ビンの3人。
明るいポスターとは裏腹に彼らの負った傷と悲しみ、容赦なく続く日常を生きる姿に胸が痛んだ。

本映画の監督であり本編にも登場するビンはこのドキュメンタリーを作成することを通じて過去の自分を乗り越えようとする。
それに対してザックが放った「心に負った傷をプラスの力に変えて生きることは素晴らしいことだ。しかしそれはすべての人が出来るとは限らない」という言葉はとても印象的。
ザックはその苦しみを知っているはずなのに自分の家族に対して暴力を繰り返してしまうのだが、負の連鎖が起こってしまう救いようのない現実に思わず目をそむけたくなる。
キアーは父親からの暴力に大きなトラウマを抱いていたが、ただ父親のことを愛したかった、愛してほしかったといわんばかりに彼のお墓の前で泣くその姿に心を打たれる。

しかしそんな彼らの仲間とともにスケボーをしている時の楽しそうな
笑顔に私をはじめ、観ている人は何度も心を救われるだろう。
最期のシーンはまるで、新しい日常、人生に向かって転んでもなお立ち上がりさらに加速させ進んでいくように見えた。

彼らと境遇はまったく違えど、現代の日本においても閉鎖的で先の希望が見えない人々はたくさんいてきっと通ずるものがあると思う。
この映画を通じて彼らのリアルとを知ることで、私をはじめそんな人々が勇気付けられ、夢を再び目指していきていけるきっかけになればよいと思う。
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