行き止まりの世界に生まれての作品情報・感想・評価

行き止まりの世界に生まれて2018年製作の映画)

Minding the Gap

上映日:2020年09月04日

製作国:

上映時間:93分

あらすじ

「行き止まりの世界に生まれて」に投稿された感想・評価

rina

rinaの感想・評価

3.6
Filmarksオンライン試写会にて。

ドキュメンタリーっていいね、
そう思える作品。

主人公3人のうちの一人が12年間カメラを回し続けていたっていうところが他のドキュメンタリーと違って良い。

自分と友人たちの生活を通して、
階級、人種、男性らしさ、家庭内暴力、
と色んな社会問題を提示している。

重い内容で心が痛むけど、
スケボーしてる時がとにかく楽しそうで、
それぞれの登場人物が前に進もうとしてる姿に心温まる不思議な感覚が残った。

イリノイに住んでた頃の懐かしい気持ちも蘇りました。にしても本当に地域差が激しい広すぎる州なんだよね…。

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。

スケボーを通して知り合った三人の少年。
彼らが大人になっていく過程を描いたドキュメンタリー。

このドキュメンタリーを撮影しているのはあくまで彼らの中の一人と言うのがキーポイント。
ドキュメンタリーとしての客観性は維持しつつも、その間柄だからこその話を引き出せているのがとても良いです!

「暴力」とはその地や血に受け継がれていく呪いのようなものでそれを断ち切るのは容易ではなくて、自分も暴力を振るわれてきたのにかかわらず、自分もまた他人に暴力を振るってしまうのはそういう「手段」しか知らないからなのかも。

この作品はそういった負の連鎖や辛い過去を乗り越える(向き合う)手段として対話と創作の可能性を提示してくれているのではないかなあと思う。
krdb

krdbの感想・評価

4.5
イリノイ州郊外の街を舞台にスケボー仲間である3人のティーンエイジャーが成長する過程を撮ったごく私的なドキュメンタリー。
まず前提として特殊なのが撮影しているのがその3人のうちのビンであること。外部の人間ではなく仲間の1人が回しているカメラということもあってインタビュー含め他のドキュメンタリーとは一線を画す印象。
失業率の高い閉鎖的な田舎町で育った彼らはそれぞれにDVなどの家庭内での問題を抱えつつ、幼少期のトラウマから逃れられない中でもがき苦しみながらも、負の連鎖を断ち切るようにそれぞれの生活を歩んでいく様がとてもリアルに映し出される。
特に印象的なのがキアーの亡くなった父との確執。黒人としてのアイデンティティが揺らぐ中で亡き父の言葉を反芻し想いを募らせる様は彼が本当に素直であることを感じさせるし、あの屈託のない笑顔や人目を憚らず涙を流すシーンはとても印象的でなんとも言えない。なんだろう、本当にいい奴だし彼には心底幸せになってほしい。
スケボーを通して出会った3人の数年間を追っただけの作品なのに、こんなにもドラマティックでこんなにも感情が揺さぶられるとは思わなかった。まごうことなき傑作。すごい。
もち食

もち食の感想・評価

4.5
素晴らしかったです。結局僕にとってこういうアクチュアルなもの以外重要ではないんです。ジョーカーもパラサイトも、遊びです...

創作ということがカウンセリング
カウンセリングが前に進める
この2つの事実を改めて痛感できたことがとてもうれしいです。
動かなくなる体と関係の劣化をいかに自覚した上で保ち続けるか、学びがありました。奇しくもそれは僕が最近、実践・体感していることでした。このままがんばります!
kae

kaeの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

私が長年思い続けている、漠然とした大人になりたくない問題の原因を冒頭でザックがさらっと再認識させてくれた 
子供は自分がしたいようにする、でも大きくなるにつれてそうはいかなくなる時が来る。なぜなら社会がそうさせるからだ、みたいな。

冒頭の3人がスケボーで街を駆け抜けていく姿が、社会のしがらみや上手くいかないこと全てを振り切れていて美しかった。

映画のレビューというより感想になるけどこの映画を観て単純にもっと人の話を聞こうと思った。ビンのお母さんの再婚相手はビンを叩くし異父兄弟の兄にインタビューするあのたった数分で彼がどれほど父を恐れているか伝わってきたのに何でそれでもビン母は彼と一緒にいるんだろう?どうしてビンは別れるように言わないんだろうと不思議だったし、ビンのお父さんについて教えての質問にビン母はやり直したいとしか言わず質問に答えてない感じがしてたけど、お母さんが泣く様子を見て、お母さん自身が一番分かっているしわたしはきっと彼女のことを理解できない。部外者ができるのは理解ではなく理解しようとすることだと思った。公式に当てはめれば喧嘩が多い家庭で育ったビン母は結婚もしたくないと言ってたけどどこかで自分が得られなかった理想の家庭像に翻弄され暴力を振るわれても今そばにいてくれる人に固執しているんだろうと思ったけど、言葉で考えられるのは問題の表面のほんの少しだけであって、体験するのとはまるで大違い
私たちはドキュメンタリー映画を通して彼らのこと、彼らの家庭の問題を知った気になっただけであって実際はほんの表面しか見えていない。
だけど最後みんなそれぞれ人生のいい方向の一歩を踏み出せてて良かった
NOTTY

NOTTYの感想・評価

3.1
初めて見たドキュメンタリー映画がこれでよかった。自分の選択は間違ってたのか、これで幸せになれるのか。そんなことはやってみないと分からないし、今はただ心が向くままに今を、明日を生きるしかない。間違えながらも成長していく3人が、変に着飾った人たちよりも何倍も格好良い。
ドキュメンタリー映画が苦手という人こそ見てほしい!(私がそう!)12年間の映像も美しく編集していると思うし、3人の嘘のないリアルな表情と感情、発言がとても心に響く。台本ある?と思えるほど。夢中になって見てしまった。
人生における親子問題の模範解答や正解なんて絶対にない。過去は確かに替えられない。それぞれ自分で未来に答えや道を見つけなくてはならないけど、それさえも辛くて逃げたいのに、逃げ道がないってセリフが考えさせられた。
最後の方では皆それぞれが大事なことを伝えてくれる。すごく良かった。
監督がちゃんと癒やされてほしいなと思うし、沢山の人に見てもらえますように。
撮影者と出演者は親友や身内だそうですが監督はあくまで被写体と冷静に距離を置いていると感じました。
そのおかげか良くある仲間内だけの内輪ノリではなく普遍性のあるストーリーになっていると思います。

個人的な負の体験を対峙するために始めたビデオ撮影をこの完成度まで持っていけるって相当な才能ですね。
A

Aの感想・評価

4.2
オンライン試写にて鑑賞。

何だろう。激しく心を揺さぶられた。
家庭から逃げるようにスケートボードに没頭する青年たち。彼らも必ず大人になる時がやってきて、彼らの一言一言がものすごく胸に刺さった。

彼らを通してみるのは、もちろんアメリカ特有のことでありながら、普遍的なものでもある。
単なる怒りだけで処理できない愛情や憎しみ、後悔、戸惑い。そしてそれも人によって捉え方、生かし方も変わってくる。

もちろん彼ら彼女らと、僕の境遇も全く違うし、それこそ住んでいる国も違うのだけど、ところどころ自分と重ねながら全編鑑賞。

語彙力なくて全然内容の無い感想になってしまったけど、ぜひ一度は鑑賞してほしい作品です。
miho

mihoの感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

filmarksオンライン試写会にて

暴力の絶えない家庭から逃げるように始めたスケボーを通じて仲良くなったキアー・ザック・ビンの3人。
明るいポスターとは裏腹に彼らの負った傷と悲しみ、容赦なく続く日常を生きる姿に胸が痛んだ。

本映画の監督であり本編にも登場するビンはこのドキュメンタリーを作成することを通じて過去の自分を乗り越えようとする。
それに対してザックが放った「心に負った傷をプラスの力に変えて生きることは素晴らしいことだ。しかしそれはすべての人が出来るとは限らない」という言葉はとても印象的。
ザックはその苦しみを知っているはずなのに自分の家族に対して暴力を繰り返してしまうのだが、負の連鎖が起こってしまう救いようのない現実に思わず目をそむけたくなる。
キアーは父親からの暴力に大きなトラウマを抱いていたが、ただ父親のことを愛したかった、愛してほしかったといわんばかりに彼のお墓の前で泣くその姿に心を打たれる。

しかしそんな彼らの仲間とともにスケボーをしている時の楽しそうな
笑顔に私をはじめ、観ている人は何度も心を救われるだろう。
最期のシーンはまるで、新しい日常、人生に向かって転んでもなお立ち上がりさらに加速させ進んでいくように見えた。

彼らと境遇はまったく違えど、現代の日本においても閉鎖的で先の希望が見えない人々はたくさんいてきっと通ずるものがあると思う。
この映画を通じて彼らのリアルとを知ることで、私をはじめそんな人々が勇気付けられ、夢を再び目指していきていけるきっかけになればよいと思う。
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