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行き止まりの世界に生まれてのkrdbのレビュー・感想・評価

4.5
イリノイ州郊外の街を舞台にスケボー仲間である3人のティーンエイジャーが成長する過程を撮ったごく私的なドキュメンタリー。
まず前提として特殊なのが撮影しているのがその3人のうちのビンであること。外部の人間ではなく仲間の1人が回しているカメラということもあってインタビュー含め他のドキュメンタリーとは一線を画す印象。
失業率の高い閉鎖的な田舎町で育った彼らはそれぞれにDVなどの家庭内での問題を抱えつつ、幼少期のトラウマから逃れられない中でもがき苦しみながらも、負の連鎖を断ち切るようにそれぞれの生活を歩んでいく様がとてもリアルに映し出される。
特に印象的なのがキアーの亡くなった父との確執。黒人としてのアイデンティティが揺らぐ中で亡き父の言葉を反芻し想いを募らせる様は彼が本当に素直であることを感じさせるし、あの屈託のない笑顔や人目を憚らず涙を流すシーンはとても印象的でなんとも言えない。なんだろう、本当にいい奴だし彼には心底幸せになってほしい。
スケボーを通して出会った3人の数年間を追っただけの作品なのに、こんなにもドラマティックでこんなにも感情が揺さぶられるとは思わなかった。まごうことなき傑作。すごい。
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