映画メモ

行き止まりの世界に生まれての映画メモのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

どんなシーンなのかあんまり説明がなかったけど冒頭の黒人のキーアの幼い頃の動画と現在の動画の繋げ方が印象的だった

スケボーパークで誰かと下手くそみたいな小競り合いで喧嘩して相手のスケボーを壊そうと踏んだり飛び乗ったりして怒りをぶつけるけど、子供で体重が軽いから全然板は割れない。
4〜6回くらいでようやく板が割れるんだけど、爆発的に怒ってるのに八つ当たりもうまくいかなくてモタモタする感じがカットなしで見せられる

そのすぐあとに現在のキーアがスケボーの技を街中で決めようとして失敗して、怒ってスケボーを踏み抜くと一発で壊れてしまう

そこから沢山のスケボーショットが畳み掛けられるように繋げられてアバンが終わる構成になってるけどここだけで妙に泣きそうになった。

主人公は主に3人

父になったザックが大人にならなければならないと抱える葛藤

父と不仲だったけど死んで喪失感を抱えるキーア

継父に暴力を受け続けてた監督でカメラマンのビル


ビルが自分が映画を撮り始めた理由を不意にキーアに打ち明けるシーンとか
最後のザックの自分が最低なやつだから人生がうまくいかないって認めたくない怖いという弱音とか
そういう言葉の後に入る社会問題の街の看板、ニュースの音声とか
ビルが語るナレーションとかは劇中に全くなくてカメラを向けた相手への言葉で登場したり、誰かに撮ってもらって話したりするので、押し付けがましさがなくて、ビルも出演者の1人としてフラットに見えるのがすごいなと思った

特に自分の母親にインタビューするためにカメラセットするところから撮っておいて自分を撮ってるカメラの存在も見せて、かつ、自分が母親のメインカメラを撮りながらインタビューしてるから、もうひりひりするくらい現場の空気を感じる臨場感だった。

個人的にはニナに対してザックに暴力を振るわれたことを話し合わないのかと聞いたり
自分の母親に継父の暴力についてどう思ってるのか聞いたり
社会の問題が家庭の問題になって個人の問題に吐きだめのように溜まっていってしまうんだろうかと思わずにいられなかった
ロックフォードの問題はそこまで詳細に語られないから個々の問題にフォーカスされるけど
この3人の問題は共通する質があるような気がする

キーアが父親に言われた言葉としていくつか披露するけどそれがなんかぐさっと来た
「白人の仲間がいても黒人だって忘れるな」
「それでも黒人をまた選べ、俺たちはさまざまな問題に立ち向かってるからだ」
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