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世にも怪奇な物語のkensyoのレビュー・感想・評価

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)
4.5
60年代らしい美しさと、技術的な限界が逆説的に想像力を刺激して、大変に良いです。

3話からなるオムニバス作品。エドガー・アラン・ポーの原作による物語。

「黒馬の哭く館」
60’sの美術とか衣装が大変に素晴らしい。
実在の衣装や居城の再現ではなくて、美術的な再解釈で衣装が作られているのも、明らかな廃墟を居城として扱うのも、フィクションの在り方として素晴らしいと思う。
ストーリーは怪奇ものの王道というか古典に属すると思うから新鮮な驚きはないけれどその分違和感もなくて、衣装や美術はいまの目で見ても十分に美しいと思う。

「影を殺した男」
3作の中では美術的にも特筆するものはなくて、ストーリーも古典的な短編ものという気がするけれど、アラン・ドロン主演でやっぱり目を惹かれる。

「悪魔の首飾り」
“映画が社会の危機と苦悩と退廃を映し出して以来、西部劇こそ政治参加の手段”

映画ブログで紹介されていた画面に惹かれて、この作品を観ようと思った切っ掛けのお話。

虚構の理論や客観的な事実と妄想の境界が曖昧な描写は本当に素晴らしくて、今観ても十分面白いです。
「少女」という役名の死神の描写が美しくてゾクッとする。

“なぜこんなことを
なぜ私を呼んだんだ
私に何をさせるんだ”
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