Velo

テイカーズのVeloのネタバレレビュー・内容・結末

テイカーズ(2010年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

窃盗集団の現金輸送車略奪。
その立案、計画、実行、逃亡の過程がストーリー。
それを追う刑事2人組の奮闘。
ありがちではあるが、要素がふんだんに盛り込まれていて見ていて楽しかった。

が、窃盗集団が金を強奪しようと一生懸命になっている様子をどういう気持ちで見ていいのかわからなかった。鼠小僧的な社会的に善な一面があるわけでもなく、ただ仲間たちで団結し努力し、極力多くの金を盗もうとする集団。
無論彼らはかっこいいのだが、どう考えても必死になって泥臭く彼らを追い詰めようとする刑事が正義なわけで。

タイトルが「TAKERS」とされているように窃盗集団の方が映画の主軸で、心理描写や物語の視点も世間的な悪者側をメインにして進んでいく。
一方、無骨で荒くれ者でありながら信念に突き進む刑事の方の視点でも物語は進められていき、魅力的な人物として映る。

そういう意味では、どっちに軍配があがるのか、この映画は見終わったときにどんな気持ちにさせてくれるのかと、最後までかじりついていられた。


この映画の主人公は、ワイルドスピードのように窃盗や破壊がひいては世界のためになるわけでもなく、純粋な私利私欲のためだけに動いている窃盗集団。
もちろん彼ら仲間内のやり取りには友情や愛情があり、映画としてもかっこいいが、破壊や殺人を厭わない、改めて口に出すなら周りのことはどうでもよくて自分たちだけ得をしようとするクズである。

善悪の感覚を捨てて観てしまえば、その窃盗集団はイケててクールで熱いのだが、善良な警官の視点と行ったり来たりしながら描かれているせいか、頭をアホにしてかっこいいと思うことが出来なかった。

一見スマートでホットな彼らの強奪ミッションの成功を願いかけるが、途中で警官が奮闘するシーンを挟むと、そうじゃんこいつらクズじゃん、と我に返る。

そんなこんなを繰り返してクライマックスのシーンでは、窃盗集団のボス、元窃盗集団の裏切り者、刑事の3人がそれぞれに銃を構えて三つ巴となる。
ここがこの映画の真価を決めるシーンだと確信した。
ここに来るまでに窃盗集団の仲間はひとりまたひとりと死んでいった。刑事のバディも死んだ。どう考えてもここで全てが決まる。
今までのモヤモヤもここですべて解消されるんだ、そう信じて画面にかじりつき直した。

3人が銃を撃ち合った。全員被弾した。
誰も立っている者はいない。
ん?どうなるの?と思っていた矢先、窃盗集団の唯一無傷なやつがやってきて、ギリ生き残った仲間と金持って逃げる。
終了。


はい?終わり?
最後に台無しになった気がする。
無理矢理にでもなんかカタルシスのある最後にして欲しかった。
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