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デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!のdendohのレビュー・感想・評価

4.2
デジモンは97年発売の初代および二代目の携帯ゲームをリアルタイムでやっていた世代(2023年現在30代半ば)で、アニメ開始前には熱が冷めていた人間。つまり、デジモンアドベンチャーは完全に未見です。本作はあくまで『細田守作品』として鑑賞しました。

ここ数年の細田守作品は、批評家筋からの酷評もあり、全く食指が動きませんでした。しかしそうは言っても2000年代以降を代表するアニメ映画監督の一人であることは疑いようはない為、細田作品の原点とも言える本作から観直してみる事にしました。

驚愕したのは、脚本から色彩まで、明らかにサマーウォーズの原型になっているということです。...というより、サマーウォーズより明らかに出来が良いです。そもそも個性のない登場人物が無闇矢鱈に多いサマーウォーズとは異なり、本作はTV版デジモンアドベンチャーのメインキャラの中からすらも、実際に動かすキャラクターを厳選しています。そしてストーリーの殆どが団地の一室で完結しているのも潔いです。40分という短い枠の中で、ここまで起承転結がうまく纏まっている稀有な映画かと思います(無論、脚本の吉田玲子氏の腕によるところも大きいでしょう)

というわけで、私の感想としては本作>>>>>>>サマーウォーズです。これから未見の細田作品を観ていくつもりですが、これが細田守の監督作品のピークの可能性ありそうです。

細かいところでは、回線がISDNだったり、文章だけのメールで回線パンクしたり、ポストペットみたいなインターフェースでのデジモン描写、自宅の固定電話でメンバーを呼び出してたりと、このあたりは何だか時代を感じます。


(追記)
血界戦線アニメ1期等で有名な松本理恵監督。彼女をモデルにしたハケンアニメでは「光のヨスガ(少女革命ウテナがモデル)」がきっかけでアニメ業界に入ったということでしたが、現実の松本理恵氏は、高一で本作を鑑賞したのをきっかけに大学受験をやめ、東映アニメーションに入ったそうです。良い話や!
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