たく

天気の子のたくのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.8
世界の摂理が男女を阻むという新海誠監督の作家性が炸裂してて、「君の名は。」で獲得したエンタメ性と悲劇性のコラボが本作でも活きてたね。
予告編が完璧過ぎて本編見るのがずっと不安で、それは半分当たって半分外れた感じ。空が一瞬で晴れ上がりビル群に陽が差す予告編の見事なシーンは、本編だと音楽が違うので今ひとつ乗れず‥。

主役二人の演技が素晴らしく、特に陽菜役の森七菜が良かった。ウケる連発の本田翼、やさぐれた小栗旬など脇役陣も活きてた。

冒頭で田舎から都会に家出してきた帆高が何とか生活しようとする中、街の冷たさがリアルに描かれるのがネカフェ難民問題を思わせて怖い感じと、バニラ求人を入れて笑わせるバランスが絶妙。帆高と陽菜が二人とも高額バイトを探して危ない仕事に行きかけるのは地味に怖かったね。
晴れ女パートからは明るく楽しい感じで胸の谷間ネタも前作思い出して微笑ましく、シリアスなクライマックスにうまく繋いでた。
自然の摂理に対する人間の驕りというテーマがあると思うけど、新海監督としては壮大な世界感をダシにして胸キュンのボーイ・ミーツ・ガールを描きたいんだろなと思った。

全編にわたってルール違反の要素が繰り返し出てくるのが暗示的。家出、バイトの年齢、銃、線路立ち入りなどなど。特に警察が国家権力の象徴としての描かれ方で、それに刃向かう姿にギリギリ大丈夫か?って感じになった。

前作での雪乃先生と同じく過去作のキャラを登場させる遊びがあり、三葉は分かったけど瀧くんは気づかなかった!
たく

たく