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天気の子のgnspのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.0
やりやがったな新海誠!

前作でおそらくは譲歩をしたであろう部分も含めた新海誠の「90%」をドン引きするレベルで放出し尽くしていて、もはや「痛快」としか言いようがなかった。
ただこの「90%」は我々のイメージ上の「新海誠」であって、前作を経た中で彼が得たものを含めた結果だとすればそれは104%と言って過言でないと思う。

まず画の表現・技術はやはり間違いないものだった。特に素晴らしかったのは「水滴」の表現。
イケイケのドライヴ感でどんどんハイにさせていった前作と比べると、今作は割とジワ上げ。その分心にジワリジワリと。

「え?いやこうはならんだろって?
うっせーな!この世界ではこうなの!!!!これの方がサイコーだろうが!!!!」を繰り返した結果。別名ノーランのコーン畑理論。
そりゃもちろん須賀をもっと掘り下げた方が「完成度」とやらは高まったんだろうけど、それをしないことこそが新海誠であり、この作品なんだ。

「あっ、こいつ吹っ切れやがったな」という決定的な展開にはもう笑うしかなかった。
しかしそれよりも更に深く突き進んでいく新海誠!やべーアーティストが資金力を持ったらここまで行っちまったよ…
だがそれがいい。それでいい。

あ、本田翼は想定よりも全然悪くなかったよ!ところどころ舌ったらずが出てて良くもなかったけど!


※追記
町山さんの評を聴いて、年が明けてから今一度鑑賞。

なるほどこれは強烈な貧困映画でもある…
「こいつらにそんなこと言わせんなよ…」って泣きそうになる。

高きビルそびえ立つ東京を生きるは地べたの人々。「臭い」も出てくる。
「周りの迷惑」だなんてふざけて言っちゃうけど、もうそんなことも気にしてられないくらいのヤケクソに彼らを陥らせたのは誰だよって。

天気の前に人は皆平等。雨は涙。
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