竹野康治郎

天気の子の竹野康治郎のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.8
新海監督の「こだわり」が詰まった映画でした。面白かったですし、凄さを感じました。幅広い世代で感情移入ができるようなキャラクター配列に、細かい映像描写、ファンタジックな壮大感、音楽とのマッチングに、スポンサーのプロダクトプレイストなどこれほどまでにまとめ上げながらストーリーを紡いでいくって凄いの一言でした。

やっぱり映像は凄かったです。リアルな部分とファンタジーな部分でギャップをうまく作り出しつつ、それを音楽によって全体の世界観へ引き込んでいくのは新海監督ならではだと思いました。

「私たちは世界の形を決定的に変えてしまった」から始まり、どのように世界の形を変えてしまったのか!?この結末に賛否が分かれると新海監督自身もおっしゃっていました。誰に感情移入するかによって感想は変わりますし、新海監督とっての結末はあの形を選んだに過ぎないと感じました。おそらく、みんな感じ方は違います。大切な居場所は何なのか、守るべきものは何なのか。みんなで共有したくなりました。

大きなスクリーンで、是非ともご覧ください。

2019年公開作品 101本目




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ここからはネタバレ要素を一部含みますので、鑑賞前の方はご注意ください。個人的感想ですので、ご理解いただければと思います。


主人公・帆高は居場所のない少年で、孤独でした。彼にとって居場所をみつけることが全てで、それは陽菜と一緒にいることが居場所でした。一方、陽菜は小学生の弟との居場所と自分の役割を見つけることによって役目を確立していきます。2人は同じ時間を過ごすも「大切なもの」は一致していません。1人が背負って大勢が喜ぶことを選択する思いと、1人を守るため(自分の居場所)になりふり構わず行くという思い、まさに10代だからこその真っ直ぐな思いを突き付けられました。これはとてつもない投げかけでありつつ、あの結末を描いた新海監督って凄いと思いました。

今回の結論風景をどう捉えるかは人ぞれぞれです。ただ主人公2人は前向きに捉えています。私は年齢的に須賀さんが感情移入していたこともあり、須賀さんの最後の一言に妙に納得した自分がいました。それが大人の強さかもしれないと。自分にとって何が大切なものなのか。改めて考える映画でした。
竹野康治郎

竹野康治郎