ににに

天気の子のにににのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

天気と東京の街並みの映像描写は非常に綺麗だし、クライマックスの一番の盛り上がりのシーンでかかる音楽は問答無用で感情が昂ぶった
MV的な演出はあまり好きではないが、映像、構図、音楽は素晴らしくこれだけでも見る価値はあると思う

一方でキャラクターとストーリーに関しては悪いとまでは言わないが薄味な印象が残った
主要人物自体そこまで多くはないにもかかわらず全員のバックボーンを表面的にしか描いておらず、行動が理解できないことがあった。
特に須賀さんは突然涙を流したり、本作で重要なアイテムである指輪を意味深にいじったりと、掘り下げれば面白いキャラクターであると想像できるだけに、本作中で詳細が語られなかったのは残念
ストーリーに関しては、まず銃が出てくる必要性が全く無かったと思う。帆高が警察に追われる原因は家出少年というだけで十分。むしろ帆高が社会(警察)に対して感じている俺たちを放っておいてくれという感情に対して、でも銃所持者を放っておけるわけないじゃんというツッコミを与える隙を与えているだけで、帆高への感情移入を損ねる要因でしかなかった。
また、本作の重要な場面である陽菜か東京という街全体のどちらを選択するのか?という問いに対して、帆高は陽菜を選択するわけだが、この選択へのカタルシスが薄かった。その原因は帆高が陽菜を選択することで生じる代償(=1300万人の生活あるいは生命を脅かすレベルの災害を引き起こすこと)を理解していない点にある。代償を理解した上で悩み、葛藤した末に、それでも俺は陽菜を選ぶんだ!と決断することでにカタルシスを感じれたはず。
もう一点気になったのは、劇中に様々な実在する企業名、商品が登場することだ。これらは街並みの実在感、キャラクターの生活感や生活レベルを表す役割を果たしていたが、調理シーンとセリフに入れることはやりすぎと感じた。例えば陽菜と凪の家にジャンクフードが多く入ったゴミ袋をチラッと見せるだけでも、2人の普段の食生活を想像できるはずで、もっと別の重要なシーンに時間を割けたはず