『君の名は。』ではリアルで美しい映像と、音楽のシンクロ率だけが特筆すべき点で、あとはよくあるメタファンタジー青春映画と言った感じで、30代のワタクシには、何も響くところがなかった…テーマが10代向けすぎたのか?
それが、映像美や音楽性はそのままに、大人も取り込める映画に進化したと言う印象。
たぶん『君の名は。』よりは大人サイドのストーリーのウェイトが増しているから、入り込みやすくなった気がする。
それを一手に引き受けているのが、主人公帆高をアシスタントとして雇う、ライター・須賀。
須賀が主人公に共感していくことで、須賀に共感している観客も主人公にも共感しやすくなり、ストーリーに入り込みやすくなっている。
私はこの戦法にまんまとやられ、クライマックスでは気がつけばボロ泣きしていた。
いくつになっても、子どもだろうが大人だらろうが、たった一人の人に出会えること、その人の手をとることを決断することは、奇跡なのだなと。
欲を言えば、個人的には須賀の声優は、藤原啓治さんか平田広明さんか、杉田智和さんが良かったなぁ…。
それにプラスして、あくまで写実的に「気象」を描いているのだが、ストーリーが進むと、それが意思を持っているかのように見えてくる。
つまり、ありのままの「気象」に人間が感じている畏怖が、映像からでも感じとれてしまうのだ。
そこに新海アニメの凄さを見た。