「最大多数の最大幸福」
この古来より唱えられてきた道徳に対する真っ向からのアンチテーゼ。
これを思うと今作が賛否分かれるのは致し方ないことであろう。
「君の名は」という大きな枷を負いながらも、
なおマイノリティな者達に焦点を当てようとした今作に私は好感が持てる。
鑑賞者の一部からすると「お前らのせいで世界めちゃくちゃやん」だ。
それも間違いない。
しかしそれはあくまでもマジョリティ。
一部を犠牲にして手に入れる幸せに過ぎない。
正直私も思った。
「うぉい、世界!え、そういう方向。。?」
しかし、見終わった後に私自身がいかに偽善者であるかに気づかされるのだ。
「結局俺も誰かの犠牲で幸せ手に入れようとしてんじゃん」
そう思うと非常に深く、見所は山程。
史上初。
例を見ない。
〇〇年ぶりの異常。
いやいや。何を持って。
誰のモノサシで。どこから基準で異常なのよ。
そういった根本に気づかせてくれるだけでも、
今作は見るべき価値がある。
大丈夫。
世界は元々異常だ。
常に異常を繰り返し、
そして世界は新たなる正常を創造し続けるのだ。
だから世界は面白く、
だから人は成長するのだろう。