とうじろう

決算!忠臣蔵のとうじろうのネタバレレビュー・内容・結末

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

世にも珍しい討ち入りを描かない忠臣蔵。この映画における戦とは、即ち此れ財務である。武士といえども人。けれども彼等は紛うことなき忠臣であった。俳優芸人アイドル入り乱れる、歴史エンタメコメディ。
狂言回しに瑶泉院を据え、紆余曲折艱難辛苦の末に吉良を討つに至った、赤穂浪士たちの金銭事情を描く。根本的に皆ダメ人間であるので、なんか嫌な事は後回しにするし、後先も省みたりしない。確かに主人への忠はあるのだが、どうにも一丸にもならない。近年悪役を演じることも増えた堤氏だが、この作品においてはどこまでいっても決まらない中年家老である。普段の芸人としてのキャラクターとは真逆の暗い岡村隆史とあいまって、それがまた愛着のある人物に仕上がっている。
忠臣蔵にも関わらず、刃傷沙汰といえば例のあのシーンのみ。やり尽くされた題材だからこそ、財政一点のみに焦点をあてることで、この作品ならではの特色が出ているように思う。忠臣蔵を見たくて選んだなら拍子抜けの一作になるだろうが、歴史エンタメコメディとしてはまずまずの出来。些か緩急に欠ける気もするが、個人的には楽しめた。