サム・ライミ復活映画。
まさにライミ印。サム汁が溢れてた。
サム・ライミのホラージェットコースターに乗って地獄のマルチバース巡りを楽しめる。
スパイダーマンばりに切ない掴みから始まり、ギフト→スペル→ダークマン→死霊のはらわた→キャプテン・スーパーマーケットと化す。タコ触手で泣きそうになった。もう何でもありやん!と劇場で若いマーベルファンに囲まれながらオッサン一人で爆笑。
マルチバースにおいて、空中分解しそうな物語をヒーローたる資質をこのユニバースのストレンジが持っているか否かに焦点が当てられてるのが良い。さすが元祖マーベル映画を認知させた男。ぶれてない。
最近、良いとこナシだったストレンジさんに本当のヒーローたる資質を問いかけることにより、人間の多面性、苦悩、儚さまで演出するなんて巨匠ならではの味わいが詰め込まれている。
コロナのせいでスパイダーマンと公開順が入れ替わり、物語の整理が無茶苦茶になって大規模な撮り直しとなったのが嘘みたいに一本芯が通った話しになっていた。ただし、最初の30分が唐突すぎるのと設定がややこしいし意味なかった重要アイテムなどがあって、そこら辺に綻びが出ている。とっちらかっているけど、ぶれないテーマはある。
しかし、無茶苦茶な設定の物語を変更しながらの再撮影は、マルチバースの中で正気を保ちながら己を見出だしていくストレンジさんそのものだったのだろう。マーベルこそがマッドネスだ。
他宇宙のゲストは面白かったけど、お遊び程度で終わった。それで良いと思うし、まだまだ出し惜しみするくらいの方が良い。ただ、あのビッグゲストがあそこで終わるのは変なので恐らく再登場して、本当の花道を用意するはず。それが楽しみで仕方無い。恐らく大集合映画で見れると信じたい。
そして、ライミ版スパイダーマン4の復活を心から願う。今回の大人の恋の苦味を今のトビー・マグワイアとキルステン・ダンストで見せてほしい。こんなに無茶苦茶な話しでも人間ドラマをきっち描くライミは本当に信頼できるゲテモノ巨匠である。
必死でブルース・キャンベル探して、見つかった時の嬉しさよ。