カイト

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのカイトのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

MCU最強の魔術師ドクターストレンジのマルチバースでの活躍を描いた本作。

2時間とは思えないほどの充実感、情報量があり、ドクターストレンジ特有の時空の歪みや幻想的な色合いのような観たことのない映像体験となった。また、IMAX 3Dによる没入感は普段の映画とは大きく異なり、自分が入り込んだかのようだった。

本作の主人公であるドクターストレンジはマルチバースということもあり、闇堕ちバ、ゾンビバージョンのようなさまざまな特徴を持ったキャラクターとして登場する。ドクターストレンジ対ドクターストレンジというドリームマッチもあり、見応え十分だった。特にシニスターストレンジのやさぐれ感が刺さりすぎた。

本作のメインヴィランとなってしまったワンダは以前の性格と一転し、目的に対する執念が剥き出しになった真の魔女となっており、その変わりように驚いた。しかし、ワンダの辛すぎる境遇を蔑ろにすることができず、どうしてもワンダに感情移入してしまい、なんとかならないのかと考えてしまった。ホワイトヴィジョンが登場すれば少しは傷が癒えたと感じた。
別ユニバースの子供たちに拒絶され、目に見えて狼狽するワンダには胸が痛くなった。いつか報われてほしい。
サムライミ作ということもあり、ワンダの最期とドクターオクトパスの最期の共通点が多い気がした。これまで囚われていたダークホールドから目覚め、ワンダ自身が自分の罪を認める、ドックオクのアームから自我を取り戻し川に沈むという2人の行動から観終わっても心が離れない説得力のあるものに仕上がっているのだと感じた。

本作は緊張と緩和や気持ちの悪い雰囲気を存分に活かし、観客を怖がらせるというサムライミ色が色濃く出た作品で今後のMCUの可能性を大きく広げたと感じた。
ここまで壮大で複雑なキャラクターやストーリーをまとめ上げる監督のキレっぷりに驚いた。
ストーリーにおいてもどのシーンにも無駄がなく、かつ見せ場も多いMCUの中でも相当な傑作だと思う。

本作のサプライズであるイルミナティのメンバーには素直にびっくりしたが、ワンダのかませ犬感が強く、もう少しイルミナティの活躍が見たかったと感じた。

サムライミ御用達のブルースキャンベルのラストは最高で思わず声が漏れるほど笑ってしまった笑

自身の予想がいかにちっぽけだったかと思わせるほどの圧巻のスケールで期待やハードルを超えるこのドクターストレンジを是非体感してほしい。
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