蜘蛛マン

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの蜘蛛マンのレビュー・感想・評価

3.5
いやいや、大好きなワンダちゃんになにしてくれてんの??
っていうのがなによりもまず第1の感想。ワンダビジョン観てないからあまりの変貌ぶりについて行けませんでした。なにげにDisney+加入してない人に理解できない作品作ったのは今回が初だと思う。
謎のホラーテイストも怖いし・・ワンダが変わり果ててしまい悲しい・・

第2の感想は、marvelってもしや終わりの始まり的な時期に差し掛かってるのでは、っていう疑いをはじめて持ったこと。
世界が広がりすぎて、というかそんな広い世界が複数登場してきて、もはや普通の観賞者にはmarvelユニバースの全容把握が困難である。当然、ヒーロー一人一人への共感や没入度は低下していく。これ、熱狂的なファン層となんとなくダラダラ観てる層に分かれていく分岐点になっていくと思う。
さらに言えば、世界の広がりに比べ、人間のドラマはパターンが限られており、有限である。同じようなストーリーをキャラを変えて繰り返すだけでは、そのうち行き詰まりが来るのは自明なことで、それはマルチバースでは解決されない問題だ。要するに「飽きる」人が今後増えてくると思う。
そういう意味で、本作のように監督の作家性を前面に押すことに新基軸を見出すのはありなのかもしれない。
サム・ライミ的な演出は個性があり良かったが、個人的には「遊び」よりも「深み」を作家性に求めるべきなんじゃないかと思う。

その文脈から抱いた第3の感想は、マルチバースを前面に押し出した本作においては、ありえたかもしれない別の人生っていうテーマをもっと深めるべきだったんじゃないかということ。
現代科学を超えた想像世界だから当たり前っちゃ当たり前だけど、マルチバースっていう概念を全然料理できてない印象で、現状単なる映像的愉楽、あるいはご都合主義的物語を導く装置でしかない気がする。
なにより、命が軽い。
本作でも軽々と別のユニバースのヒーローを虐殺してみせたが、ヒーローの唯一無二性に傷をつけかねず、ドラマも皮相的になり、なんとも乱雑な印象を受けた。
もっともっと熟考してドラマを深める方向に行けば、良い作品が出来たのではないか。

なんか長くなっちゃったけど、ワンダの扱いが悲しくて文句垂れてる感じです。
いつも予想を超えてきたmarvelだから、今後のイノベーションを期待したいです。
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