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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのmkのレビュー・感想・評価

4.0
めちゃくちゃ面白かったけれど、ところどころ残念なところもあって、惜しい気持ち。

MCUとサムライミの作るホラーのケミストリーが良い。今までのmcuにはなかった作風。
ホラー要素だったり、『コンスタンティン』や『Identity V』のような世界観が新鮮だった。クロエジャオのmcu、タイカワイティティのmcu、ジェームズガンのmcu、同じ世界線で、作風が顕著な監督とのコラボレーションが楽しめるのが本当に楽しい。こうやって、どんどん様々な監督を起用して、シナジーを生み出して欲しい。これからも楽しみ。

また、一貫して、「君は幸せか」という提起がなされていたけれど、マルチバース云々にかかわらず、この選択をしていなかったら…とか、もし別の世界に生まれていたらこんな自分もいるのではないか…とかって誰しもが考えること。マルチバースというMCUの設定を使って、普遍的なテーマを問いていて、上手くできた映画だなと思った。

あらゆる意味でのマルチバースによる、ファンサービス溢れるサプライズにも興奮した。

その一方で、微妙だった点は、ワンダの描き方。ワンダの心の傷の原因は明確であるにもかかわらず、なぜ心のケアという道を考えずに、すぐに物理的な戦いに発展してしまったのか。ワンダがヴィランとなるまでの展開が、あまりにも速すぎた。心のケアで助かる命があるということを、スパイディが示したにもかかわらず、ドクターストレンジ は一体何を学んだのか。
家族を持つこと以外にも幸せは沢山あることを示すべきであった。それでこそ、今の映画だと思う。最近のMCUは、男性の描き方は多様になる一方で、女性の描き方は画一的なまま。そんなに難しいことなのか。ワンダを、家族を持てず拗らせてしまった悪役みたいにしまったことが、あまりにも時代遅れで、すごく悲しい。主要なキャラクターの女性比率が高かったこと、レズビアン表象がサラッと出てきたことが良かっただけにもったいない。

しかし、エンドロール後に、私の1番大好きな女優が登場して、待望のMCU入りを果たしたことは、めちゃくちゃ嬉しい
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