ぴがし

黒い司法 0%からの奇跡のぴがしのネタバレレビュー・内容・結末

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

人種差別の問題と司法取引によって引き起こされた冤罪、両面から迫った形の実話をもとにした法廷もの映画。実話をもとにしているだけあって、事件そのものにも話の進展にも特に派手さはない。司法取引も黒人と白人の間の差別意識も直視した事ない日本人としては少し入り込みづらい部分もある。

 昨今、黒人に対する差別を無くしていく世論がとても大きいように感じるが、生の情報を得ることのできない身としては、報道される情報だけで判断すると正直わかりにくい部分もある。もちろん自分自身も人種差別には反対だが、戦後は欧米寄りの価値観の上で成り立って来た日本で生まれ暮らして来た我が身にはおそらく無意識な差別意識は残っているかもしれない。そういう不安な点を補強するには良い知識が沢山得ることのできる作品であると思う。最近この映画のように、たとえフィクションでも、過去のアメリカにおける人種差別を「悪きことであった」ように表現する映画は多いように思うが、それでもなお差別は消えないようだ。日本人がアメリカの映画として得ることのできるこの情報は、はたして日本人の身に置き換えた時にどうなのか。日本が戦前戦後と長きにわたり意図的にも不意にも形成して来た隣国との摩擦によって生じた差別意識は、はたして日本と関係諸国以外のどの国の人たちが、米国における人種差別と同じように憂慮してくれるのだろうか。

みたいなことを考えながら見てしまったので、ちょっと視点がぶれてしまったが、オチはとても良い話でした。

こうやって、「かつてアメリカではこの様な人種差別の中、頑張った被差別者がいたのです」という映画が完全に無くなった時が、差別の無くなった時なんだろうなぁと感じました。日本はどうなんだろうなぁ、とも。

身近な事でも遠くの事でも、差別意識を無くすために、過去の出来事と現在進行形の出来事をきちんと勉強したいと思う。
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