このレビューはネタバレを含みます
最初は、レイシスト物か他人種見分け問題のどっちだろって思ってたけど、まさに……だった。
涙だらけだよ。
これは一人の黒人を救う話じゃない。
レイシズム蔓延る社会への反逆というか反旗というか……。南部のアラバマ、白人社会の中で弾圧された黒人たち。皆が諦めも持ってる中で、黒人弁護士が戦う。
家族も誰も希望なんて持たないから信頼関係を築く事すらも大変ってのが、また辛い。
弁護士は差別をちゃんと解ってる人だった。ただ識ってるんじゃなくて、本当に判っている。
私達には分からない、ほぼほぼ完全に理解する事は難しい事だ。
彼は判っているから、彼と彼らの間に信頼が生まれた。
ハーブの最後の言葉に打たれたよ。彼らが『仲間』として牢屋を打つ音、ラジオから流れる音楽。
死刑制度ってなんだろう。
抑止力は大事だし、日本に死刑って馴染みが薄い存在だから本当の意味では解らない。でもこれを観てると考えなきゃって思わされるわ。
映画であって、これは実話だからさ……。
PTSDの理解も薄い、プライバシーも守れない時代の戦いで、警察すらも敵。
粛清や偽証も当たり前な世界に腹が立ったよ。
体験してないのに、こんなにも悔しい。悔しい悔しい悔しいって思って悔しくて泣いてた。
だからこそ弁護士たちの引かない姿が素晴らしかった。
爆弾の話があっても、銃をつきつけられても折れない彼らが本当に素晴らしかった。偽証者も最後には本当の事を言った。
白人の中にもレイシストじゃない人達はいる。でも押さえつけられてしまう世界がある。間違ってても、それをそうという形にされてしまう。でも、信じられる人もいるんだよね……。
裁判官にも「なんでだよ。なんでだよっ」ってなってさ。観てるこっちまで、力が足りないのか?ただの人種差別なのか?解らないよ……どうして、どこに正義があるの?
そんな風に号泣したわ。
マクシミリアンは真実を取り戻せたから……それだけが救い。
事務所も人が増えて、注目度も高まった。クソ検事って思ってたし、どこまで差別するん、ほんとクズってさ。
でも検事にも正義があった。
あっけないほどの幕切れだけど、これこそがリアル!
大抵のこゆネタは真犯人見つけたり~だけど、実際はこんなにも弁護での戦いってのが素敵だ。
マクシミリアンに関わって救い、弁護士も新たな力を得て、今後はきっと大丈夫って思える最強の弁護士に。
最後に流れる写真も泣けてきた。
あんなレイシストがその後も当選してたってのが、また闇深い。
「俺たちがついてる」の『俺達』には、同じ牢屋の仲間以上のものを感じる。不条理で生きにくい社会を共に戦う仲間なんだろうな。
この映画は冤罪の恐ろしさと死刑制度に食い込んだ作品だわ。