中島何某

犬鳴村の中島何某のネタバレレビュー・内容・結末

犬鳴村(2020年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2020年 46本目

地元福岡の有名心霊スポットが映画の題材になると聞いて、公開以前から期待していた。(清水崇監督ということもあって…)

設定自体は及第点、悪くない感じ。終戦を近代から現代への節目とするのが通説であるが、本作はその境目に起きた事件を事の発端としており、自分たち世代にも遠からず近からずの感覚を与えてくれていた気がする。終わり方は賛否両論あるが、“血縁”という逃れる事の出来ない業の様なモノが延々と続くという描写は日本独特の恐怖(輪廻・因果)を孕んでおり、自分的には好感が持てた。作中の水の音や描写等がJホラーの醍醐味として機能していたのは「さすが清水崇、恐怖を分かってる!」という感じ。
また、私が最も良かったと思うのは、福岡県の田舎町の封建的な家庭環境を機微に描いていた事である。東京にいるとその感覚は忘れがちだが、2020年の現代にも家父長制の家庭は確かに実在している。この様な描写がこの作品に更なる彩りを加えていた事は言うまでも無いだろう。しかし一方で、“方言”という概念が全くと言っていい程存在していない事は、私に歯痒い感覚を抱かせた。この点に関してはマイナスというのが正直な感想である。

総評としてはそこまで悪くは無いし、寧ろ清水作品としてはかなり上位に位置するのではなかろうか?と感じている。元々存在する都市伝説を下地にしている為、ベースがしっかりしているのは当然ではあるが…。