あつし

火口のふたりのあつしのネタバレレビュー・内容・結末

火口のふたり(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

富士山の火口で心中しようという提案、過去の希死念慮、震災の記憶、男とも女ともわからない亡者の踊り、映画全体に死の雰囲気が漂っている。その中で取り憑かれたように互いの体を求め合う二人、というのは文字として対比すると陳腐だけれど、生と死の近さを感じる。
R18にはなっているけれど映像的にエロいというよりは関係性や二人の気持ちの盛り上がり方が画面越しに感覚として伝わってくるタイプのエロさ。

柄本佑の演じる男は、個人的に好みでなかった。デリカシーのない発言や、立ち居振る舞いの雑さが。あの雰囲気で無職でバツイチというのが変にリアル。まぁよく言えば雄っぽさがあるので、ああいうタイプに色気を感じる女性は結構いるのかもしれない。それにあの役が優男でもちょっとイメージ違うしなぁ。
あまり知的な役柄ではないと思うのだけど突然集団的自衛権というワードが出てきたり、他にも原発やら戦争やら現実の政治問題に関するセリフがちらほらあったのは違和感があった。どういう意図かわからないけれど、最初から最後までほぼ二人しか出てこない映画にあってはちょっと無理やり入れてきた感がある。そこだけ個人的なマイナスポイント。

そして、ずっと二人の関係だけを描く中で突如起こる富士山の噴火というカタストロフ、これって一昔前に流行ったセカイ系そのままの構図だよね。あの頃に青春を過ごした人間なので、いきなりの富士山の噴火なんて突拍子もない話をすんなり受け入れられたのかもしれない…。
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