たく

火口のふたりのたくのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
4.0
いとこ同士の男女が久々に再会して昔のようにセックスの快楽におぼれていく話で、主役二人の自然な演技に引き込まれた。全編ほとんどセックスしてるだけなんだけど、時に絵画的なまでの美しさをみせる映像によって不思議と汗臭さを感じさせない。
直子が自衛隊の男と結婚することになるのが、大震災をまぬがれた秋田県出身者の負い目から来てるってところに人間の業を感じた。
富士山の火口が二人を結びつけるアイテムとして登場し続けて、ラストの展開はちょっと今のコロナ禍を予言してるようで不気味だったね。最後は「この世界にはこの二人しか存在しないんじゃないか?」って感じで、アダムとイブの象徴のようにも思えた。

瀧内公美は「彼女の人生は間違いじゃない」でも裸体をさらした体当たり演技が光ってたけど、東日本大震災が背景にある点も本作と共通する。柄本祐はこないだ観た「アルキメデスの大戦」と全く違う役柄で、主役・脇役どちらもこなせるところに実力を感じた。
監督の荒井晴彦は日活ロマンポルノの脚本からスタートしてるとのことで、本作の性描写が実に自然なのも納得。
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