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12か月の未来図のレクのレビュー・感想・評価

12か月の未来図(2017年製作の映画)
4.0
フランスの名門高校から郊外の教育困難な中学へと一年という短い期間だけ赴任することになったベテラン教師。
名前を覚えることは疎か、環境も生徒の態度も何もかもが一苦労。
初めは反発する生徒達が次第に教師の熱意に応えて心を開いていく姿が見ていて微笑ましい。

集団、クラス全体ではなく、ひとりの問題児に焦点を絞ることで、教師と生徒、人と人との繋がりや関係性が築かれていく様が穏やかに且つ端的に描かれる。


"教えること"と"学ぶこと"は比例しない。
退学が当たり前の中学校、学ぶ姿勢のない生徒達が退学処分となっていく。
しかし、生徒達は本当に学ぼうとしていないのか?
一方が押し付ける形ではなく、興味を刺激し、生徒達自ら学ぼうという気持ちにさせることが大切なのだ。

失敗は挫折、諦めとなることを体験させてみせ、成功体験を積ませること、それが例え不正であっても目を瞑ること。
本来あってはならないことでもこの環境では有効で、ひとりひとりに個別に合わせることが教育においても重要だということがよく分かる。

字を読ませるには?書かせるには?文法を理解させるには?
今作ではある有名文学が取り扱われる。
初めは興味を示さなかった生徒達も、その小説の中を生きる人々のドラマには興味を示す。


教師と生徒の関係性、生徒間の恋愛や失恋、友情や喧嘩。
自分は常々、何気ない日常にこそドラマがあると思っています。
日々の積み重ね、この一年で得る貴重な時間は生徒たちにとっては小さな成長かもしれない。
しかし、その過程がドラマ的であり、人生にとっての大切な経験は未来のビジョンへの大きな一歩となるのではないだろうか。
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