みの

クロースのみののレビュー・感想・評価

クロース(2019年製作の映画)
-
サンタクロースの誕生物語が、大人(といっても本人とても幼稚だけど)の理由で始まり、大人な視点で締める、とかく甘い夢物語になりがちなこの題材の中にちょっとした苦味を感じさせる設定があることがすごく良かったし、なんか現代的に説得力がある。バレンタインとか鰻屋さんとか、その手の話とのリンクがあり、想像しやすいながらも、ファンタジーとしての素敵さや神秘さがある。人生は計り知れないから、そういうこともあるかも、みたいに思わせてくれる。ある島の出来事でありながら、現代につながる多様性の話でもあり、実際今の今までその風習が現実の習慣として生きているのだから、きっと多くの人が「信じたい」と思える風習に今生きる人たちに起源と思わせてくれるような温かい寓話で、私も好きになりました。

何より驚いたのは、3DCGではなかったこと。2Dだったんですね、私3DCGと思って見ていました。ちょっと影のある絵本のような陰影が、この話の苦味や悲しみと一致していて、とても良かった。

天涯孤独になったクロースと天涯孤独になりそうなジェスパーのふとした瞬間に心が通ってしまう時のワクワクがこちらにも伝わる。そういう「出会いのときめき」の積み重ねも楽しく、それがこのお話の推進力になっていたと思う。とにかくあっという間に観てしまい、そして涙した。

お子にサンタクロースに手紙を書いてほしいという邪な母の思惑は失敗しましたが、母はこの映画を気に入りました。面白かったです。
みの

みの