Monsieurおむすび

王国(あるいはその家について)のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

4.0
#王国あるいはその家について
役者が役を獲得していく過程を捉える為に、架空の作劇リハーサルの同シーンを別パターン、別カットで繰り返す映像表現。
ドキュメンタリーなのか、はたまたフィクションなのか。
監督の野心とわがままと映画への信仰にも似た信頼が開拓した深部。
一方、役者にとっては役作りを練り上げている作業を記録されるという、ある種の暴力に晒されてもいる。

何度も繰り返されることで、時系列やなんとなくのト書きがこちらにも理解でき、脳内に鮮明に再現される。それでいて、役者のアプローチやカメラアングルなどにより、同じシーンが驚くほど別の印象を与えたりもする。

これまで何千本と映画を観てきたが、間違いなく全くの未体験領域。
映画とはこうも確固たる枠組みを顕現できること、なにより自由であることに感嘆した。
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