Nyayoi

王国(あるいはその家について)のNyayoiのレビュー・感想・評価

3.8
映画祭での上映。知らなかったのだけどタイトルに惹かれて鑑賞。
終了後に監督と主役女優の挨拶あり。

あらすじは書かれていますが、始まりは取調室で読み上げられる調書の衝撃的な事実。
亜希「友人夫婦の子供を川に突き落としたのは私です。」「もう裁かれています」

その後は最初は棒読みのようなホン読みから、リハーサルの繰り返し。本番に近い演技になっていくが、本番ではない。何を見せられているのかと唖然としているうちに、その独特の世界にハマっていくようだった。
何度も同じシーンが繰り返されつつ、少しずつ物語が進んでいく。進んだと思ったらまた戻る。しかし、少しずつ伝えられる情報も増えている。

舞台挨拶で俳優の身体の変化を伝えたかったとの監督の言葉。リハーサルを繰り返し映して変化を伝えながら、もう一方で物語は進んでいる。
何度も繰り返される場面がしつこいようだが、演技から本物の殺人者へと至る過程を見るようだ。

最後の告白の手紙の途中で終了。誰もいない子供のおもちゃのある部屋だけが映し出されすべてを語る。
演技の途中しか見せられていないのに、亜希が殺人者になってしまった見えない心の動きに同化していくような錯覚をしてしまうのが怖い。

なんか不思議なものをみた。他にはないだろう。
Nyayoi

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