もりや

ミュウツーの逆襲 EVOLUTIONのもりやのレビュー・感想・評価

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION(2019年製作の映画)
3.8
映像表現は変わりましたが、感じるものは変わりませんね。素敵な映画です。とりあえず、配達員カイリューが可愛すぎました。

最後に見たのは十年ほど前ですが、こんなにテンポよく進んだっけ?となるほどスラスラ進んでびっくりしました。テーマは一貫して、自己の存在理由、何を以て他者と自分を区別するか、差別意識といった重苦しいものを扱っており、大人向け要素の強い映画ですよね。

ミュウツーは生まれたときから、研究者やサカキ様から最強のポケモンという側面でしか見られておらず、彼自身の中で強いか弱いかでしか物を測れていないのがすごく悲しかったです。そんな彼も、サトシと出会って人間を知るわけですが、力を振るうことしか知らない彼は、戦う以外の道を選ぼうとしたとき、やっぱり力を振るわないことしか選択できないんでしょうね。そう考えると、全て忘れ去られて、「いるんだからいるんでしょ」というある種全肯定的な締め方の中でも、彼らは誰にも認知されることなく、結局隠遁する選択をするしかなかった事がとても辛い。いるんだからいるんでしょ、それはそう。実際のところそれ以上でもそれ以下でもなくて、自分自身で勝手に理由をつけて前を向くしかないんでしょうね。それができたら苦労しない。

好きなシーンはやっぱりニャースとコピーニャースの会話シーンですね。ロケット団の二人含め、こういうところで一歩引いてて変に消極的な彼らにはいつも安心させられます。ニャース同士、自身の爪を見ながら、引っかかれたら痛いよなぁって、そういう想像がちゃんとお互いにできていて戦わないところが本当に好き。もうその時点で、君たちに本物とコピーの区別はなくて立派な独立した個人もといポケモンだよ、と言ってあげたい。

変化した表現が効果的に働いて、中身を伝えんとするシーンたちが際立ってこみ上げてくるものがありました。世代で、オリジナルを見ていた方はぜひ。全然コピーじゃないです。また20年とかそれくらいの間をおいてみると違った感じ方をするのかな。
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