みおこし

家族ゲームのみおこしのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
3.7
沼田家では、中3の次男・茂之の高校受験を控えていた。一向にやる気を出さず成績も上がらない茂之に困り果て、父の孝助、母の千賀子、そして成績優秀な兄の慎一もピリピリムード。家庭教師を雇ってもなかなか続かなかったが、ある日三流の大学の"7年生”だという吉本という男を雇うことになるのだが…。

名匠・森田芳光監督の代表作。風変わりな家庭教師・吉本(松田優作)の登場によって、バラバラだった一家が少しずつ変わっていく様子をシュールに描いた作品。
全編通して、はっきりとしたメッセージやテーマが述べられているわけではなく、何ともつかみどころのない雰囲気が漂っているのですが、それが本作の最大の魅力。有名すぎるあの横並びでの食卓の様子、BGMも最小限にしぼってあえて生活音を強調させた音響、そして吉本の奇行をはじめとする印象的に繰り返される独特な演出の数々。どれもとにかくシュールだし、ちょっと気持ち悪さもあるんだけれど、何だかクセになっちゃうんですよね。

無気力、偏見、建前…。1980年代、もっと言うなら今もなお残っている日本人特有の良くないところ。型破りすぎる吉本のやり方に観ながら戸惑う場面もあったけれど、そんなネガティブな部分に全力で切り込んでいくあのやり方、やっぱり気持ちいい。ぼそぼそとした話し方も印象的だったけれど、ただ茂之を一瞥しただけで黙らせちゃうあの風格たるや…!改めて優作さん、圧倒的なカリスマ性だなぁ。
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