区切りの卒業の前は、時空の狂った野生の山林だ。
たとえ立ち入り禁止区域があっても、それを踏み越えて、見るもの触れるものすべてが新しい未踏の地を、ワイルドにかき分けて突き進みたくなる。
名づけられていない植物に囲まれる。
自分の中の生き物が目覚め、まだ感じたことのない気持ちが芽吹く。
「引き」のカメラで見れば、各々のDNAにインプットされているような、誰にでも訪れる甘酢っぱい青春の1ページ。
でも顕微鏡でつぶさに観察してみれば、その「気持ち」は、「行動」は、いつどのように生まれ、動きだし、またどんな形をしているだろう。
「今度の日曜日、ひま」と聞かれた時? 他の誰かに告られた時? あいつの気持ちを知ってしまった時? 彼女が振られたのを見てしまった時? それとも手と手が触れた時?
列車は、飛行機は、この心をどこへ連れていくのか。
浴びるほど映画を見ても、まだまだ見たこともないワイルドなものが、人間の中には潜んでいる。
今夜も新しい映画を見よう。名づけようのない感情やしぐさのワイルドツアーに出よう。