クマヒロ

宮本から君へのクマヒロのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.9
熱い!
自分のエゴ、自分の中の正義を貫き通す宮本。一線を越す熱血に感服。

ドラマ版から人として自分のリアルをぶつけ続けた宮本。
圧倒的な熱量と思いはスクリーンで見るとより大きく、強く感情を揺さぶられた。
映画だからできる表現もたくさんあり、役者たちの体当たりとも言える演技と真利子哲也監督の撮影に対する熱までも伝わってくるかのようだった。

自分の中のリアルで行動していく宮本の行動は自己中心的ともとれるのに、周りもそれに影響されていく。
人としてまるでダメな男なのに、応援したくなるし、こいつの言ってることなら間違いないって思える。
冒頭からラストに至るまでひと時も目が離せないし、今後の宮本にも目が離せないって言えるほどの熱量のラストはこれから巻き起こる波乱すら予感させた。

暴力描写、性描写をとことん描ききったことも、宮本から君へを完成させるためには必須だったのだと思う。
どの描写にもそれぞれの思いが伝わってくる。強姦の描写は徹底的にドライに、役者の顔も暗闇に紛れている。
宮本と靖子の初めてのシーンは靖子が宮本を必要としていること、宮本の覚悟が伝わってくる。
素晴らしすぎる。

ディストラクションベイビーズの踏襲ともとれる背後からカメラが寄って行って顔が映るシーンは個人的にかなり鳥肌モノ。
柳楽優弥、池松壮亮それぞれの暴力の意味が全く別のものであることが2人の後ろ姿から伝わってくることに息を飲んだ。
圧倒的暴力と覚悟を背負った暴力。
真利子監督流石です。本当に大好きな監督。

自分も負けてられない。全てのことに熱意を持って、一線は超えなくともリアルな自分で生きていこう。そう思える映画だった。
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