見始めてまず、初見殺しだな〜せめてドラマ版を全部…なんて思ったけどとんでもなかった。原作にブチ食らってパンチドランカーになっちゃった人しか無理なのでは…?ていうか詰め込みきれないし、単純に知らないと伝わらない部分が多いというか。
とにかく作り手側の原作に対するまっすぐ過ぎる敬意と愛情と、それに食われないために固く握った拳が見えました。
ドラマ開始当初は、自分の中で池松壮亮がどこまで宮本なのかやや賛否分かれる部分があったけど、最早その気概にはひれ伏す意外にないし、ドラマ版では気持ちチョイ役気味だった蒼井優は想像を遥かに上回るくらいに靖子だった(イメージそのままというのとはやや異なる)し、それだけで超泣ける。
感情のベクトルが四方に突き抜けて、最高というか、そうじゃなくて、とにかくでかいスクリーンでガッツリ食らってよかった。完璧な映画とは言えないけど、最後まで物語に負けなかった。中々こうはいかないんじゃないのか。拍手したかった。
基本的にはあくまで原作ファンとしての感想しかないけど、一応フラットにお話を見るとすれば、宮本なんかなにも正しくない、全部間違ってるんだけど、自分の根底にある思いを、どうしようもない男のクソ意地が間違いごと丸呑みしてしまう狂った力強さに否応なく刺激されてしまう。時代錯誤なのは百も承知の、ある種の悲しい男の性。