いずみたつや

宮本から君へのいずみたつやのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.2
勝ち目のない相手に無策で挑んで血だらけになって、誰も求めてないのに絶対に引き下がらない。ぶつかってあざを作ることでしか社会と向き合えない、不器用な宮本。

マチズモに対する拒否感が強まってきた今の時代の視点で見ると結構ドン引きするシーンも多いですが(原作を読んだ時の印象は忘れましたが、もっとストレートに感動していたように思います)、その辺には自覚的な作品なんだろうと思います。

そうした不満を靖子が代弁する場面もあるし、結局のところ、靖子は宮本が腕っぷしで「勝利」したから結婚を決めたわけではないからです。

また、さすが真利子監督といった暴力描写の生々しさ、痛みが伝わってくる強烈な見せ方のおかげで、これらが「かっこよく」見えない点も奏功しているように思います。

非常階段のシーンは、バイオレンス描写に慣れてしまった僕でも薄目になったし、場内からは悲鳴が上がってましたw

宮本の姿を冷ややかに見る一方で、どこまでも真っ直ぐにブレない姿には羨望の眼差しを向けてしまいます。