荒野の狼

たちあがる女の荒野の狼のレビュー・感想・評価

たちあがる女(2018年製作の映画)
5.0
『高くて硬い壁と、壁にぶつかって割れてしまう卵があるときには、私は常に卵の側に立つ』(村上春樹)。という超有名なスピーチの一文があるけれど、まさにこれを地(じ)で行く珠玉の逸品である。村上文学は海外でも人気があると言うから、この監督さんはきっとここからインスピレーションを得たに違いない。ポスターからは予想もつかない、なんとこの映画、言わば一匹狼ゲリラ、女版『ランボー』なんである。異なるところは森の中じゃなくて、周りに何も無い平原(草原)。身を隠すところも殆どなくて、相手はハイテク装備やドローンで迫ってくる。この設定だけでも星4つでしょう。
大筋は、権力に楯(たて)突くレジスタンスってだけの話なんだけど、大袈裟じゃない見せ場、見所が幾つも仕込まれていて、決してこぢんまりまとまってるわけじゃなく、飽きさせない。普通じゃないエンディングも暗示的で素晴らしい。この映画一本でアイスランドの好感度10倍増し。
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