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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢のItottyのレビュー・感想・評価

3.9
フランス産、シンクロ親父の挑戦!

男子シンクロへの挑戦を決めた、うつ病の主人公(私には最後までそうは見えなかったが、2年間職につけてないらしい。007慰めの報酬の時の方がよっぽど病気に感じたけれど笑)
中に入ってみれば、メタボなおじさん達の暇つぶしサークルで、なんなら練習後のサウナとビールが本番のよう🍺(それはそれでとってもゆるくて楽しそうだし、勝手な欧州のイメージにピッタリだけれど)
一人ひとりが人生においていわゆる負け組な彼らだったが、偶然に、いや本当に唐突に見つけた世界選手権の出場を目指し、シンクロに励んでいくというお話。


シンクロメンバーのそれぞれの負けっぷりというか、うまくいかないところを代わる代わる見せつけられる。テンポよく切り替わるし、コメディ風に映すので嫌な気分にはならない。
ストーリーも繋がりよりも、オシャレにテンポを重視していて、あっさり淡々と進んでいくので気持ちよかった。

何を伝えたいのかと少し考えながら見てたら、やはり割といきなりやってきた世界選手権。
これまでの努力だってそこまで印象的に映してないのにどう本番の演技を映し出すの?と思ってたけれど、不覚にもウルっときてしまった。オヤジたちが本気になってシンクロしてるだけで、感動するには十分だったのかな。
彼らの歓喜の叫びがとても印象に残っている。


そう。歓喜。
人生の中では、あらゆる場面で勝負が存在していて、その場面ごとで勝ち負けはついていく。もちろん運も大いに絡むものだし、だからその眼前の勝負で負けても、それを自分の心で前向きに捉えられたら、負けなかったといっていいと思う。そして、その意味で、自分に負けないことが1番大事なことだと思う。
でも本作のシンクロチームを見て思った。
あらゆる勝負に負け続けてきても、自分が決めた何かで勝つことの輝きは全く違ったいた。そこには間違いなく、全身で味わう歓喜があり、周囲の祝福があり、仲間の絆があった。
オヤジになって、たとえ何回大事な戦いに敗北してきたとしても、この先にある一つの勝利を掴み取れば、そこに人生の歓喜は必ず待っているんじゃないか。

あっているかわからないけれど、そんなふうに感じた一作でした。
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