長靴を吐いたネコ

戦場でワルツをの長靴を吐いたネコのネタバレレビュー・内容・結末

戦場でワルツを(2008年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

※記憶保持が主目的の為ネタバレ全く自重していませんので、今後観る予定のある方は読まないことをお薦めします。
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2008年
総合評価 4.0 → ☆4.3

「シナリオ」 (1.0) … 3 → 3
「演出全般」 (1.2) … 5 → 7.2
「心理効果」 (1.5) … 4 → 6
「視覚効果」 (1.1) … 4 → 4.4
「音響効果」 (0.9) … 4 → 3.6
「教養/啓発」 (0.8) … 5 → 4.8
「俳優/声優」 (0.7) … 3 → 2.1
「独創性」 (0.8) … 4 → 3.2
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【ストーリー】
レバノン内戦に参加した主人公(監督本人)が、20年以上経過して振り返った時に、当時の記憶が欠けていることに気付き、内戦に関わった戦友達や関係者達を訪ねて徐々に記憶を取り戻していく。
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≪キーワード≫
洋画 アニメ イスラエル レバノン内戦

【魅力】
・シナリオ構成
・スタイリッシュな演出
・映像
・音楽
・教養

【不満】
・特に無し

【印象に残ったシーン・台詞】
オープニングシーンとラストシーン。
「This is not a love song」のシーン。
「Enola Gay」のシーン。
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【少し突っ込んだ感想】
正直、ストーリーは映画として決して面白いものでは無いと思う。レバノン内戦と虐殺をイスラエル兵視点テーマにした希少性はあるものの、ほぼネタバレと同時進行でシナリオが展開していくので、オチにも意外性は無い(特にイスラエル人にとっては)。この映画の魅力の一つは、その面白くないシナリオを、構成と演出によって面白く見せる手腕だと思う。

とはいえ、冷静に考えれば大半は単純に監督の「主観的」体験を徹底的に映像化しているだけとも言える。ただ、この「主観的」なイメージを表現するのはそれだけでセンスが要求されると思う。同監督は脳内イメージを表現しながらも、シュルレアリスムに偏らずにリアリティ路線を重視しながら、それでいてスタイリッシュな演出で鑑賞者を退屈させない、という個人的にはとても斬新で好みのセンスだった。

地味なシナリオを十分補完できる派手なオープニングと衝撃的なラストシーンの工夫も高評価。レバノン内戦…というか戦争のリアリティを地味なシナリオで表現しながらも、鑑賞者を退屈させまいとする意図が凄く良く伝わる。

個人的に近代戦争映画ではトップレベルの名作だと思う。しかもアニメ。今のところイスラエル映画でハズレは無いかも(あまり観てないけど)。流石ハリウッドの立役者の民族。


【蛇足】
メイキング観ると、作画担当者の天才性が伝わる。学校で才能が評価されないために、わざと利き腕じゃない左手で書いてレベルを落とすことにより評価を得られたらしい(その事実を知った学校は慌てて評価を落としたらしいがw)。

https://www.youtube.com/watch?v=m2kLTFTnlu0
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