Sinamon

よこがおのSinamonのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
3.6
周囲から信頼されている訪問看護師の市子(筒井真理子)がある事件のせいで、平穏な日常が一変してしまいます。
加害者でも被害者でもないのに事件への関与を疑われ理不尽な状況に追い込まれ、全てを失ってしまう1人の女性を描いた映画です。

この映画は他人事ではなく誰にでも起こりうるかもしれない恐ろしい映画でした。 『淵に立つ』の深田晃司監督と筒井真理子さんがタッグを組んだと言うだけあってとにかく全編に漂う静かな狂気が恐ろしかったです。

筒井真理子さん演じる市子はとても温厚で優しい人で、周囲からの信頼も厚く誰からも好かれる良い人なのに、ある事件の加害者になった瞬間に変わる周りの空気がとにかく冷たく胸が締め付けられました。

もし自分の身内が事件を起こしたら間違った報道をされ、容赦無いマスコミに囲まれ、信じてた人達の裏切られ真面目に仕事をしていたのに、一瞬ですべてが崩れる様子を淡々と見せられ胸がキリキリ痛みました😖

復讐をすると決める市子なのですが、復讐をしても何も変わらない現実を突きつけられ心が痛かったです。

ラストシーンの車のクラクションを鳴らすシーンは市子の心の叫びのように感じました。

筒井真理子さんの演技はやっぱり素晴らしかったです👏
『淵に立つ』で凄い演技をする女優さんだなぁと思ったのですが、今回の映画でも美人なのにどこか幸が薄い感じで雰囲気や表情などで全く違う人間に見える筒井真理子さんの妖艶さに魅了され、この市子役がピッタリはまっていました。

池松壮亮さんは『だれかの木琴』に続き美容師役なのですが、髪を切る池松壮亮さんに何とも言えない男の色気を感じてしまい、池松壮亮さんの気だるい演技はいつ観ても素晴らしく安定感のある俳優さんだなぁと思いました。

市川実日子さんや吹越満さん等、脇を固める俳優さんも素晴らしい映画でした。
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